傘生地ガイド

傘生地の仕様と選び方:デニール・織密度・目付

傘生地のデニール、織密度、目付を解説。組成、印刷、仕上げ加工の確認点も紹介します。

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傘生地ガイド · 15D / 190T / 260T · FOLDING-77296 / FOLDING-77351 / GOLF-48271

傘生地の仕様には、15D、190T、260Tなどの表記が使われます。Dは糸の線密度を示す単位です。Tは一部の長繊維織物の取引で使われる密度表記で、経糸と緯糸の密度の合計を表します。生地の単位面積当たりの重さは「目付」と呼び、通常はg/m²で示します。

生地を選ぶ際は、こうした数値に加えて、繊維組成、プリント、仕上げ加工、傘にしたときの重さや見た目も確認する必要があります。

D・T・目付の違い

表記示す内容数値の意味
D(例:15D)糸の線密度。一定の長さに対する糸の質量15Dは、9,000mの糸の質量が15gであることを示します。[1]
T(例:190T、260T)一部の長繊維織物の取引で使われる密度表記一般的な表し方では、1インチ当たりの経糸本数と緯糸本数を合計します。[3]
g/m²(gsmとも表記)織り上がった生地の単位面積当たりの質量。通常「目付」と呼びます生地1m²当たりのグラム数です。[5]

同じ生地にD、T、目付が併記されることもあります。選定時は、それぞれの数値を分けて確認します。

1. D:糸の線密度を示すデニール

Dはdenier(デニール)を表し、糸の線密度の単位です。線密度とは、単位長さ当たりの糸の質量のことです。9,000mの糸が15gなら15D、30gなら30Dと表します。[1]

同じ長さで比べると、15Dの糸の質量は30Dの糸の半分です。ただし、この比率が当てはまるのは糸そのものであり、生地や傘全体の重量が半分になるという意味ではありません。

軽量な傘生地を検討するときは、D表記だけでなく、織密度、織り方、仕上げ加工、仕上がった生地の目付も比較します。生地の強度については対応する試験が必要で、Dだけでは判断できません。

2. T:経糸と緯糸の密度

織物は、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交差させて作ります。経糸は生地の長さ方向に並び、緯糸は幅方向に通ります。一定の距離の中に並ぶ経糸の本数が経密度、緯糸の本数が緯密度です。[2]

経糸・緯糸と本数を数える方向 緑の縦線が経糸、金色の横線が緯糸です。横方向に経糸を数えると経密度、縦方向に緯糸を数えると緯密度が分かります。線の本数は説明用で、製品の実測値ではありません。 横方向に経糸を数える → 経密度縦方向に緯糸を数える↓ 緯密度 経糸緯糸
経糸・緯糸を数える方向の模式図です。特定製品の実際の密度を示すものではありません。

一部の長繊維織物の取引では、1インチ当たりの経糸本数と、1インチ当たりの緯糸本数を足した値をTで表します。この表し方では、190Tは公称の経緯密度の合計が190、260Tは260であることを示します。[3]

数え方の例:経糸110本/インチ+緯糸80本/インチ=190T。

この数値は計算方法を説明するための例で、実際の製品の測定値ではありません。120+70でも合計は190になります。そのため、190Tという表記だけでは、経密度と緯密度それぞれの値までは特定できません。

単位と表記方法が同じなら、260Tは190Tより公称の経緯密度の合計が大きくなります。ただし、必ず厚い、重い、丈夫な生地になるとは限りません。経糸・緯糸それぞれのD値、織り方、仕上げ加工も併せて判断する必要があります。DとTを直接換算することはできません。

Tは取引上の密度の略記です。生地を比較する際は、経密度、緯密度、単位も確認します。ISO 7211-2:2024の密度測定では、1cm当たりの糸本数を用います。cm単位とインチ単位の数値を比較するときは、先に単位をそろえます。[4]

3. 繊維組成・目付・仕上げ加工

繊維組成

ポリエステルやナイロンは繊維の種類を示します。一方、PGやポンジーは、生地の流通上の呼び名です。ポンジーにはポリエステル製のものもあるため、こうした呼び名だけでは、繊維組成は分かりません。生地の比較では、繊維組成と織物の仕様をそれぞれ確認します。[6]

生地の目付

目付は生地1m²当たりの質量で、g/m²、またはgsmで表します。生地自体の軽さを比較するなら、DやTよりも目付の方が直接的な指標です。ただし、仕上げ加工済みの生地同士を比べるなど、加工段階をそろえる必要があります。ISO 3801では、単位長さ当たりの質量と単位面積当たりの質量を別々に扱っており、両者の数値は混同できません。[5]

プリントと仕上げ加工

プリントは生地に柄を付ける加工です。カレンダー加工やはっ水加工などは、織り上がった生地に施す仕上げ加工に当たります。DやTの数値には、これらの加工条件は含まれていません。

はっ水性と、水の浸透に耐える性質は別のものです。AATCC TM22では生地表面の水ぬれに対する抵抗を、TM127では静水圧下での水の浸透に対する抵抗を評価します。[7][8]傘としての防雨性能を判断するには、生地の試験結果に加え、傘全体の構造も確認します。UV防護の等級にも対応する試験の根拠が必要であり、T表記や「黒色コーティング」という名称だけでは判断できません。

4. CITTAの使用生地と特注の例

CITTAの4モデルについて、生地と構造の仕様をまとめました。

CITTA製品情報に基づく生地仕様です。情報確認日:2026年10月27日。

モデル生地の表記傘の種類・構造
FOLDING-7729615D超軽量生地三つ折り・5本骨・手開き
FOLDING-77351190TプリントPG生地+カレンダー加工薄型五つ折り・手開き
GOLF-38490180Tポリエステル生地/はっ水加工長傘タイプのゴルフ傘
GOLF-48271260T両面デジタルインクジェットプリントのポンジー生地27インチ・8本骨・自動開き

FOLDING-77296:15D超軽量生地

CITTAのFOLDING-77296は15D超軽量生地を採用した、三つ折り・5本骨・手開きの傘です。骨組みには黒色のアルミニウムとカーボンファイバーを使用しています。15Dは生地に使う糸の仕様です。このような軽量折りたたみ傘を比べる際は、傘全体の実際の重量、収納時の寸法、使い心地も確認する必要があります。

FOLDING-77296の濃色モデルを開いた状態 FOLDING-77296の内側の拡大写真。生地表面、縫い目、骨が見える
FOLDING-77296を開いた状態と内側の拡大写真。生地の表面、縫い目、骨を確認できます。

FOLDING-77351:190TプリントPG生地

CITTAのFOLDING-77351は、手提げ型の傘袋が付いた薄型五つ折りの手開き傘です。生地の表記は「190TプリントPG生地+カレンダー加工」。190Tは密度、PGは流通上の呼び名、プリントとカレンダー加工は加工内容を示しています。

FOLDING-77351のクリーム色の傘面。赤茶色の縁と細い線の柄 FOLDING-77351の収納時の拡大写真。白いハンドルの横に赤茶色の布端と黒い内側が見える
FOLDING-77351を開いたときの柄と、収納時に見える布の縁・黒い内側の拡大写真。

GOLF-38490:180Tポリエステルとはっ水加工

CITTAのGOLF-38490の生地表記は「180Tポリエステル生地/はっ水加工」です。180Tは密度仕様、ポリエステルは繊維組成、はっ水は仕上げ加工の説明です。

GOLF-38490の生地の縁の拡大写真。布の表面、縫い目、骨、赤い先端が見える
GOLF-38490の生地の縁と縫い目。

GOLF-48271:展示仕様と特注仕様

現在のGOLF-48271展示モデルは、260Tの両面デジタルインクジェットプリントのポンジー生地を使用しています。外側は深緑、内側は茶色です。特注では、この基本モデルの生地やハンドルを変更することもあります。

GOLF-48271展示モデルを開いたときの深緑の外側 GOLF-48271展示モデルの茶色の内側と骨組み
GOLF-48271展示モデルの外側と内側。下記の16,000本の受注品を撮影した写真ではありません。

当社の16,000本のカーボンファイバー製カスタム傘プロジェクトでは、このモデルのフルカーボン製骨組みを維持し、まっすぐなカーボン製ハンドルと210Tの黒色コーティング生地に変更しました。柄はデジタルプリントで加工しています。

210Tという数値だけで、260Tより品質が劣るとは判断できません。両者では、生地や加工の条件も異なります。基本モデルとしてGOLF-48271を選んだ後も、その注文で使用する生地、プリント、ハンドルを確認する必要があります。カタログの展示仕様が、そのまま注文仕様になるわけではありません。

5. 完成した傘で確認する柄と外観

完成した傘では、柄のつながり、生地と骨の取り付け、たたんだときの外観を確認します。CITTAの製造現場の映像には、生地の準備、裁断、縫い合わせ後の検査、折りたたみ・巻き作業が記録されています。

CITTA工場で、作業員が設備の前で広げた生地を扱っている
CITTA工場の生地準備工程。

裁断では、三角の型板で位置を合わせて傘のパネルを切り出します。検査では、縞柄の傘生地を広げ、縫い目、柄合わせ、平らに仕上がっているかを確認します。ストライプ、縁取り、複数のパネルにまたがる柄は、縫い目の両側で合っているかが重要です。これは縫い合わせた生地で確認する必要があり、平らな布見本だけでは分かりません。

巻き作業では、傘生地を折りたたみ、形を整えて巻きます。FOLDING-77351のようなプリント傘のサンプルは、開いて全体の柄と縫い目を見たうえで、たたんだ状態でも布の縁や内側がデザインどおりに見えるか確認します。

参考資料

  1. Conneaut Industries: Common Measures / Conversions. デニールなど、糸の単位と換算方法の説明。
  2. CottonWorks: Weaving Basics. 経糸・緯糸と織物の基本構造の説明。
  3. Dengte: The meaning of T in the specifications of synthetic fiber products. 一部の長繊維織物の取引で使われるT表記の解説。
  4. ISO 7211-2:2024. 織物の単位長さ当たりの糸本数の測定に関する公式公開概要。
  5. ISO 3801:1977. 織物の単位長さ当たり・単位面積当たりの質量の測定に関する公式公開概要。
  6. YunAi Textile: Introduction to conventional fabric varieties and specifications. ポリエステルのポンジーやT表記など、織物の種類と仕様の紹介。
  7. AATCC TM22: Water Repellency - Spray Test. 公式公開範囲:生地表面の水ぬれに対する抵抗の評価。
  8. AATCC TM127: Water Resistance - Hydrostatic Pressure. 公式公開範囲:静水圧下での水の浸透に対する抵抗の評価。

技術資料の確認日は2026年10月27日です。規格や試験方法の引用は、概念と評価項目を説明するためのものであり、掲載製品が該当試験を受けたことや、特定の等級を満たすことを示すものではありません。CITTAの製品仕様と事例の出典は、該当箇所にリンクしています。

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